【ゼロからはじめる初心者向け】「はじめてのタツノオトシゴ飼育マニュアル」その3 

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生体の迎え入れ、水合わせについて。水槽を設置してタツノオトシゴを購入したらやること

アクアリウムコンサルタント・タツノオトシゴコンサルタントのマガキガイです。

写真は新人(新タツ?)の水合わせ風景です。

ポイント

アクアリウムでの生体全般に言えることですが、新しい仲間をお迎えする際は【水合わせという作業が必要で、大事なのは水温調整です。つまり、いかに水温の差を無くすか。いきなり水道から出した水で人工海水を溶いても、大抵は温度差が大きくてダメージになります。お迎えがアクアリウムの中では実は一番難しい作業かもしれません。
人間も沖縄からいきなり北海道に行ったら風邪を引いたりします。逆に、一度環境になじめば、病気になったり、水質がよほど悪くない限りは大丈夫です。

新しい生体を既存の水槽にいきなり入れてはいけません。よほど運が良くない限り、すぐ死亡します(特に魚)。また、場合によっては外部から病原菌や害のある生物が水槽に持ち込まれてしまい、水槽が全滅することも・・・。

そのため、通常は「水温調整・比重調整・pH調整・トリートメント(消毒)」を行います。

私が推奨する方法としては、水合わせとメイン水槽の換水を同時に行うようにします。メイン水槽の換水を同時に行うことで、メイン水槽の水質が人工海水に近づき、水合わせの際に、元居た所との水質の差によるショックを軽減します。

初心者向け 水合わせの手順 (タツノオトシゴ用)

手順1:メイン水槽からバケツ半分程度の水を用意。(バケツA)

※上澄みのきれいな水を使用してください。

手順2:新しい人工海水をバケツ半分程度用意。(バケツB)

※メイン水槽と同じ温度・比重にして、エアレーションしてください。前日に汲み置きすると楽です。

手順3:購入した生体ビニール袋を開封せずに「バケツBにそのまま浮かべ」、最低でも30分~1時間そのままにして、水温を合わせます。

※寒暖差の大きい時期は気を付けてください。水温は1℃変わっただけで、気温に換算すると3℃ほどの感覚に相当すると言われています。

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手順4:生体が入ったビニールの封を開け、ゆっくりかき混ぜながら、「生体もビニールの水も全てバケツB」の中に移します。

手順5:手順4から30分~1時間ほどしたら、「手順4が済んだバケツB」に「バケツAのメイン水槽の海水」を少しずつ注いでいきます。

手順6:手順5から30~1時間ほどしたら、生体だけをすくい、メイン水槽(水合わせの待ち時間を活用して、半分程度換水しておくのが望ましい)へ移します。水合わせに使用したバケツの水は全て処分。

ビニール内の海水からいきなりメイン水槽に入れてしまうと、pHや硬度など水質の差が大きい可能性があり、生体がショックを起こすので、きれいな人工海水で割ってあげることで、水質の差によるショックを軽減しています。新しい生体が数日~1週間くらいで死亡してしまうのは、水合わせが原因と言っても過言ではありません。

ポイント

一般的に、ビニール内の水は輸送中などに汚れている(アンモニアなど)のでメイン水槽に入れないようにしなければいけないのと、メイン水槽にいない病原菌などを外から持ち込まないことも非常に重要です。特に、多数の水槽に同じ海水を循環させているショップで購入した生体などの場合、メイン水槽にビニール袋を直接浮かべて水温調整をして、そのまま水ごと生体を入れてしまうと、病原菌を持ち込むリスクが非常に高いです。(クマノミなど弱ると病気にかかりやすい魚種を飼育する際は特に注意)

また、中級者以上であれば、手順4の前後で「淡水浴」や、手順4の際に薬剤を入れて「薬浴」を行うのもベターです。薬浴よりは淡水浴がオススメですが、淡水浴はpH調整剤を使用するなどして事前にpHを8前後にしておいた方が無難です。タツノオトシゴであれば淡水浴は7~10分くらいです。体表に着いた寄生虫、細菌、微生物、藻などが落ちてキレイになります。私は換水時にも毎回、10分程度の淡水浴をしています。

ポイント

比重やミネラルなどの各種パラメータは、よほど極端でない限り、しっかり水合わせすれば細かく測定する必要はありません。よくネットなどで、点滴のようにして水合わせをする方がいますが、ベテランや非常にデリケートな魚種以外そこまでする必要はありません。中級者に多いですが、通常は時間を掛けすぎて生体の負担になりますし、そこまでしなければいけないほどメイン水槽の水質が特殊な状況(大抵は汚いか、添加剤の影響)と推察されます。
(ショップなどは大抵硝酸塩が高め、pH低めですが、定期的にメンテナンスされているので水質は比較的安定しています。)

正しく管理されているメイン水槽よりも、輸送中に汚れたビニール袋内の水質が心配です。水合わせの際にビニール袋の封を開けた際、解毒剤を数滴垂らしておくのもオススメです。メイン水槽も水替えの頻度が少ないと、水質パラメータが変化しており、理想的なバランスの人工海水とかけ離れている可能性が高いです。硝酸塩や硬度などでは測れない物なので、新しい生体を迎える時は計画的に、慎重に行いましょう。

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